先日ネットニュースを見ていたときに、こんな見出しが目に飛び込んできました。
「地方高校で朝課外廃止へ」
「朝課外」とは、九州などの地方高校で行われている朝の課外活動のことで、1時限目の前に授業やミニテストなどが行われています。
今、これを廃止しようという動きが広まりつつあるとのことなんです。
九州出身の私にとっては、これはかなり大きなニュースでした。
だって私は、高校3年間何も疑うことなく朝課外に出席し続けていましたから…。
とはいえ、今の時代に朝課外は必要ないという意見も納得できるところがあります。
朝課外は本当に必要なのか?
私も自分の経験を振り返りつつ、考えを巡らせてみました。
朝課外は地方高校で長く続けられてきた"伝統"
私が高校生だったのは約15年前。
当時は私の高校でも近隣の高校でも、朝課外は昔から続けられてきた"伝統"と位置づけられており、"あって当たり前のもの"と認識されていました。
それに加えて、3年生になったら夕課外も行われていました。
学校にいた時間は以下の通りです。
私は幸い通学時間が自転車で15分ほどだったので、7時頃に家を出て18時半頃に帰宅する生活を送っていました。
多くの学生や社会人の生活リズムとさほど違いはないのではないかと思います。
しかし、遠方から通う同級生の中には、毎朝5時台に家を出ないと間に合わないという子もいました。
帰宅も必然的に遅くなりますから、かなりしんどかったはずですよね。
生徒が朝7時から夕方18時まで学校にいる、これが私の出身校の当たり前の姿でした。
私の高校時代:朝課外に出ないという選択肢はないに等しかった
私は高校3年間を通して朝課外に出席し続けましたが、なぜ欠席するという選択をしなかったのかお話ししますね。
実は私も含めて、ほとんどの生徒は朝課外が単位には関係がなく、出席が任意であるということを知ってはいたんです。
でも、みんな朝課外は必ず出席するものと認識していたし、欠席するわけにはいかない状況でもありました。
- 朝課外に出席していること前提で正規の授業が進められるため、欠席すると授業についていけなくなることが容易に想像できた
- 朝課外の出席率が大学入試の推薦に影響すると言われていた
- 「都会の子は学校+予備校で勉強するけど、地元に予備校のない君たちは学校が予備校の役割を担っているんだよ」と先生に言われ、学校側から朝課外は必要なものだと刷り込まれていた
こんな状況だったので、朝課外に出るか出ないか検討する余地もなかったんです。
私は朝課外に欠席する選択をしなかったというよりは、できなかったというべきですね。
周りの同級生もみんな、朝課外には必ず出席していました。
正規の授業だって、稀にサボる生徒がいても大半の生徒はきちんと出席するものですよね。
朝課外も同じような扱いで、「朝早く登校するのは大変だなぁ」とは思いつつも、半強制的に出席させられることに抵抗を覚えることはほぼありませんでした。
なぜ朝課外を廃止しようという動きが広まっているのか?
少なくとも私の高校卒業後数年間は、全員朝課外に出席するのが当たり前の状況が続いていたみたいです。
ところが2017年頃から、その状況が変わりつつあるらしいという話を私も耳にするようになりました。
そして、冒頭で触れたように、最近ではニュースで取り上げられるようにもなってきたということなんです。
なぜ、朝課外を廃止しようという動きが広まっているのか?
それには、地方の教育環境の充実化や社会全体の価値観の変化が大きく影響しているようです。
地元に予備校ができて朝課外のあり方が大きく変化した
大きな変化の1つは、地元に大手予備校の教室が開校したことです。
朝課外の存在意義は、地元に予備校がなく、学校外で勉強する環境が整っていないことでした。
でも、予備校ができたら話は変わりますよね。
「地元に予備校がないから、学校がその役割を担っている」という理屈が通用しなくなってしまったため、私の母校では朝課外の出欠希望をとるようになったとのことです。
他にも、多くの高校で同じような対応をしたという話を聞きました。
元々「朝課外の出席は任意」ではあったものの、予備校の開設によってそれが「形式的なもの」から「実質的なもの」に変わったんですね。
教育現場のワークライフバランスの議論が活発化してきた
もう1つの変化は、教育現場のワークライフバランスを改善しようとする取り組みが活発になってきたことです。
近年は、政府が「残業時間を減らそう」「仕事も生活も充実させよう」という取り組みを積極的に導入し、各企業もそれに応じて時間外労働の少なさや有給休暇取得率の高さをアピールするなど、社会全体でワークライフバランスの重要性が高まってきています。
学校の先生も例外ではありません。
昔から教師と言えば労働時間が長く、過酷な職業というイメージでしたが、今では先生がやらなくてもいい仕事は他の職員に分担するなどの工夫をして、負担を減らそうという動きが見られます。
このような流れから、正規の授業ではない朝課外も減らすべき負担の1つではないかという意見が挙がるようになったんです。
朝早くから、実施義務のない課外のために学校に来るのは先生にとっても大変ですからね…。
長時間働く人が偉いんだ、プライベートを犠牲にして働くのは当然だ、という考えはもはや時代遅れとも言われています。
時代の流れからして、強制的に朝課外を行うことは無理なのかもしれません。
私の考え:朝課外が時代に合わせて変化するのは必然
ここまで、朝課外がかつてはどんなものだったのか・今はどのように変わってきているのかについてご紹介してきました。
最後に、私の朝課外に対する考えをお話ししたいと思います。
- 私が高校時代に学習面で大きく成長できたのは朝課外を含む学校のカリキュラムのおかげであることは間違いない
- 当時は地元に大手予備校はなく、朝課外は多くの生徒にとって有効な教育手段だった
- しかし、周辺の教育環境の充実化や社会全体の価値観の変化から、朝課外のあり方も変わるのは必然
- 大切なことは、生徒自身が考えて学習手段を選択すること
私個人としては、高校で朝課外に出席し続けたからこそ、学習面で大きく成長できたと思っています。
先生方は、非正規の指導であっても常に真剣で、決して手を抜くことはありませんでした。
今でも本当に頭が上がりません。
しかし、環境や価値観の変化を理由に、私の後輩たちが朝課外に出ないという選択をしてもいいし、朝課外を完全廃止してしまっても構わないとも思っています。
一番大切なことは、生徒自身が自分に合った学習手段は何なのかをしっかりと考えたうえで、最適な選択をすることです。
その意味では、朝課外は本当に必要なのかという意見を主張したこと自体が素晴らしいことだと思います。
多くの生徒が自ら選択した学習手段で主体的に勉強できるようになることが理想ではないか、と私は考えています。
まとめ
- 「朝課外」とは九州などの地方高校で行われている朝の課外活動のことで、朝7時半から授業を受けることが多い
- かつては朝課外に出席することは当たり前だと認識されており、他の授業と同じ様に扱われていた
- 最近になって朝課外を廃止する動きが活発になってきたが、それは教育環境の充実化や社会全体の価値観の変化による影響が大きい
- 朝課外は地方の高校生の学力向上に貢献してきたが、時代の変化に合わせてそのあり方が変わるのも必然
- 一番大切なことは、生徒が自ら学習手段を選択すること
今回は朝課外廃止について考えを巡らせたことで、自分がやってきた学習方法が今の時代に合っていないこともあるのだと勉強になりました。
朝課外には出ても出なくてもいいと私は思います。
自分にとってどちらがいいのか、よく考えて選択することが大切です。
まだまだ朝課外を欠席します、と言い出しにくい学校もあるのかもしれませんが、自分には必要ないなと思ったら勇気を出して先生に相談することをおすすめします。
最適な学習方法を選択して、悔いのない高校生活を過ごしてくださいね!