先生、なぜか急に勉強のやる気がなくなったんです。
どうしたらいいですか…?
私は家庭教師をしていて、このような悩み相談を受けたことが何度かあります。
私自身は「急にやる気がなくなる」と感じたことがないのですが、似たような相談を複数回受けるということは共通の原因があるのだと考えられますよね。
教える立場としては、「やる気がなくても受験は待ってくれないのだから、何とか気合い入れて頑張りなさい」と言うしかなかったのですが、後になってそれでよかったのか心配になったんです。
今回はそんな私の反省も踏まえて、急に勉強のやる気がなくなる原因と対策について調査してみました。
やる気が出ないのは"メンタル不調"のせい!?考えられる原因3つ
初めに、これだけはお伝えしておきます。
やる気が出ないのは、決してあなたが甘えているからでもないし心が弱いからでもありません!
その原因は、もしかしたら以下のような"メンタル不調"のせいかもしれないんです。
- 燃え尽き症候群
- 受験ノイローゼ
- 受験うつ
私ってメンタル弱いの?
なんだかすごくショックなんだけど…。
日本ではまだまだメンタル不調に対するマイナスのイメージがあるので、自分がなってしまうなんてショックかもしれませんね。
でも、メンタル不調は甘えや心の弱さが原因ではないですし、「心が弱い」というわけでもないので、適切に対処すれば回復するんですよ!
それぞれの症状に思い当たるところがないか、まずは確認してみてください。
燃え尽き症候群
燃え尽き症候群とは、勉強などを一生懸命に頑張りすぎたことが原因で、ある日突然無気力な状態になってしまう症状です。
以下の性格の人は、特になりやすいと言われているので注意が必要です。
- 完璧主義で妥協を許せないタイプ
- 真面目で努力家
- 神経質で些細なことを気にしてしまいがち
高い志を持つことは決して悪いことではありません。
事実、私も高1時点では「旧帝大に受かる力がない」と担任教師に言われていたにもかかわらず、諦めずに勉強し続けたことで第一志望の京大に合格することができています。
しかし、1日10時間以上勉強しているのに模試でE判定だったときは心が折れかけました。
頑張っても努力が結果に表れないと、挫折してしまいそうになりますよね。
私自身は遠い目標ではなく目の前の課題に向き合うことで乗り越えることができましたが、挫折感を引きずっていれば燃え尽き症候群になっていたかもしれない、と今では思います。
燃え尽き症候群は、悪化するとうつに進行することもあります。
このような状況に陥っていると気づいた時点で、すぐに改善に向けた対策を考えましょう。
受験ノイローゼ
受験ノイローゼは、文字通り受験が原因で"ノイローゼ"という状態になることです。
ノイローゼとは"神経症"のことで、精神的な悩みやショックが原因で頭痛や肩こり、イライラ、不眠などの症状を引き起こします。
感情面では悲観的になり、涙が止まらなくなることもあるのでとても辛い症状ですね。
ノイローゼとうつの違いは、原因がはっきりしているかどうかという点です。
ノイローゼの場合は、受験勉強のストレスやプレッシャーなど、症状を引き起こしている原因がはっきりしているのが特徴です。
ノイローゼになってしまうと、周りの人との接し方も変わってしまってイライラをぶつけてしまうこともあるみたいです。
私も受験生の生徒を指導する際、ノイローゼではないにしてもやはりピリピリとした空気になってしまいがちなので、プレッシャーをかけすぎないことを意識していました。
それでもつい、「頑張れ」と声をかけてしまってましたけどね…(反省)。
受験ノイローゼから立ち直るためには、原因を取り除くことが効果的です。
ただし、単純に勉強しなければよいかと言われるとそうではなく、かえって勉強が不足していることが不安を増長させることもあります。
最も必要なことは、自信をもって受験にのぞめる状態になるように心身を調えることだと私は思います。
自分の将来設計のための適切な目標を定め、着実にその目標に近づけていると実感できるやり方で勉強することを心がけてくださいね。
受験うつ
受験うつも、文字通り受験がきっかけで発症するうつのことを指します。
ノイローゼとは違い、うつは脳機能の低下が認められる状態です。
つまり、気合や根性で治せるものではないので、医療機関で適切な治療を受ける必要があります。
うつには、2週間以上ずっと気分が落ち込んでいる、何をしても楽しくない、といった自覚症状があるのですが、自分では気づかないうちにうつになってしまったということも珍しくないようです。
気づかないうちに症状を悪化させることを防ぐには、日頃から周りの人とコミュニケーションをとることが大切です。
私も自分が受験生だった頃、友達と他愛もない話をしていたときに、ふと「最近元気がなさそうだったけど、今日話してちょっと明るくなったみたいでよかった」と言われたことがありました。
自分ではそんなにストレスを抱えていた自覚がなかったのですが、意外と周りの人ほど自分の様子に敏感に気づいてくれることもあるのだと実感しました。
受験は決して孤独な闘いではありません。
友達や家族、学校や塾の先生など、あなたの味方になって気にかけてくれる人はきっといますから、そんな人たちと会話を楽しむ時間も大切にしてくださいね。
どうしてもやる気が出ない日は勉強から離れてみよう
やる気が出ないのはメンタル不調かもしれないって言われても、勉強しないわけにはいかないですよね…?
確かにその通りです。
勉強を一切しなければ、受かるものも受かりませんから試験に合格したいのであれば受験勉強をやめるわけにはいきません。
でも、勉強に集中できない状態で机に向かっても、勉強した内容はほとんど頭の中に入ってこないはずです。
うつ状態であれば記憶力も低下してしまいますので、本来の実力を発揮することもできないでしょう。
どうしてもやる気が出ないなと感じたら、その日は思い切って勉強から離れてみましょう。
友達と遊びに行くのもよし、1人で趣味に没頭するのもよしです。
ただし、勉強から離れるのは1日に限定して、翌日からは気持ちを切り替えて勉強を再開してくださいね。
個人的には、勉強を全くしない日を作っていいのは試験本番の1か月前までだと思っています。
本番が1か月以上先であれば、1日くらい勉強しなくたって取り返すことは十分に可能です。
それよりも、まずは前向きに勉強に励むことができる状態を取り戻すことが大事なので、今日は勉強をやっても集中できそうにないなと感じたらリフレッシュデーにしてしまいましょう。
勉強をやる気になる方法は?おすすめのストレス解消法!
最後に、勉強をやる気になるにはどうしたらいいのか、おすすめのストレス解消法についてご紹介したいと思います。
具体的にどんなストレス解消法が合っているのかは、もちろん個人差が大きいので一概には言えません。
しかし、このポイントを押さえたら受験勉強の効率アップの効果を実感できるのではないかというコツを考えてみました。
- 受験勉強を頑張る仲間を作る
- 毎日の勉強の後のリフレッシュ方法をルーティン化する
- 模試が終わった後の楽しみを作る
受験という同じ苦しみを分かち合う仲間を作ることは、1人でストレスを抱え込まないために効果的な方法だと思います。
リアルの友達がいれば一緒に切磋琢磨すればよいのですが、もし身近でコミュニティに参加することが難しいならSNSを活用してもよいと思います。
プライバシー侵害や誹謗中傷のリスクには注意しつつ、正しく利用することを心がけてくださいね。
また、毎日の勉強や模試の後に楽しみを作ることもおすすめです。
音楽を聴いたり体を動かしたりすることにはストレス解消効果が認められていますので、毎日の勉強の合間にうまく取り入れるといいと思いますよ。
それから、私はよく「来週の模試が終わったら映画を見に行こう」など、模試のスケジュールに合わせて予定を組んでいました。
自分に合ったストレス解消法は手探りで見つけなければならないものではあるのですが、これらのことをヒントに上手にストレスに対処する術を身につけていただけたらなと思います。
まとめ
- 勉強のやる気が出ないのは"メンタル不調"が原因の可能性がある
- 受験期のメンタル不調には、主に"燃え尽き症候群"、"受験ノイローゼ"、"受験うつ"の3つのタイプがある
- どうしてもやる気が出ない日は勉強から離れてみるとよい
- 勉強をやる気になるには、ポイントを押さえつつ自分に合ったストレス解消法をうまく取り入れるとよい
長い人生、受験だけですべて決まってしまうということはありませんが、大切な人生の方向性を決める機会に心と身体を傷つけてしまうのはとても惜しいことだと思います。
自分が将来やりたいことを考え、それを叶えるために目標を決めて頑張ることは必ず人生のプラスになります。
今は苦しみを感じているかもしれませんが、きっと明るい未来が待っていますので前向きに勉強に励んでもらいたいと心から願っています。
決して無理をすることなく、受験に向けて心身の状態を調えてくださいね。